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スマホ脳(アンデシュ・ハンセン)

読んだ本の感想を書き溜めているので読了したものはきちんと記事にしようと思いました。

キャッチーなタイトルとは裏腹に、偏桃体が起点となって生じる情動による緊急回避システムが現代のライフスタイルに災いすることが多いという話(ファスト&スローで言われているシステム1、2の区別)を別角度で説いたような本。

私は学生のころから、生身の身体があらゆる目的達成の足手まといになっている感覚があった。前半ではそれを言い当てられた。脳の仕組みは数千年前の、狩猟、闘争、回避などの営みに適応しており、現代社会で有利になるようなストレス制御や報酬に適応するには進化の世代数が圧倒的に足りない。それどころか選択/淘汰圧がかからない社会に到達してしまっているという主張である。

そのうえで、テクノロジー、広告ビジネスが数千年前のモデルのままな私たちの脳をハックして収益を上げる構図を人類自ら作り上げてしまった。この本ではそれを自覚し人間の身体特性をハックし返すことを提案している。

さてADHDかつ過剰なストレスにさらされていた私の脳は偏桃体が発達してしまったであろう。この本では論じられていないが、マインドフルネス瞑想は偏桃体の体積を縮小する働きがあるのでこれは続けていきたい。