今回はジャズの章
ジャズ
ニューオリンズ
ニューオリンズは、元はフランス領(La Nouvelle Orleans 新オルレアン)でスペイン人、フランス人、白人、黒人、クリオール(白人、黒人の間に生まれた者)が入り乱れ、19世紀で世界最大の貿易港だった。
黒人霊歌、カリブのダンス、スペイン民謡、フランスのダンス、イギリスの行進曲などなど様々な地域のリズム、楽器が組み合わったことから、創世期から今までを通してカリビアン風、ラテン風のピアノを弾く者がいたりする。
- Jelly Roll Morton
- James Booker
- Professor Longhair
- Allen Toussaint
- Dr. John
最初に録音されたジャズ。白人が演奏している。
- ODJB
Rag Time
ジャズの原型は雇われた個人がやっていたブラスバンド(葬儀のあとに演奏する陽気な曲=セカンドライン)。南北戦争等のあとに軍楽隊が売った楽器(コルネット、クラリネット、トランペット、トロンボーン、チューバ、ドラム)を使っていた。その後ダンス等を解禁していたコンゴスクエアとそれに近いストーリーヴィル地区で育ったと考えられる。娼館があり1階ではラグタイム。その周辺のボールルーム、キャバレーではもっと大きな音の音楽が演奏されていた。
ラグタイムピアノの本場はセントルイスからカンザスシティまでの一帯で、とくにその中間にある Scott Joplin が居たセダリアがラグタイムの都と言われている。その後ニューヨーク等東海岸の都市で大流行する。
前回のシカゴでのboogie-woogieもラグタイムの影響を受けている。
- Pete Johnson, Big Joe Turner
- Shake, Rattle and Roll
白人のジャズ
ニューオリンズでのクリオールは教育水準が高く楽譜も読め、音楽的には黒人との橋渡しになった。
- Louis Moreau Gottschalk
- Bamboula
- King Oliver
やがてWW1開戦となりニューオリンズが軍港となったためストーリーヴィルは閉鎖され、ニューオリンズのジャズマンたちもミシシッピ川を北上するようになった。Louis Armstrong はニューオリンズからシカゴ、ニューヨークへ渡った。
- Louis Armstrong ソロスタイルを確立した。
- The Complete Hot Five and Hot Seven Recordings
ブル-スに影響を受けたカンザスシティジャズ
- Coleman Hawkins
- Lester Young
これを舞台にした映画カンザスシティは入門に良い。
1920後半からはニューヨークなどの都市でジャズが成熟した。バンドが大編成になったりした。(ビッグバンド)
- Duke Ellington
- Take the A Train
- Black and Tan Fantasy
- Satin Doll
- Fletcher Henderson
白人がジャズをさらに洗練させた。
これらはスウィングジャズと呼ばれた。
- Benny Goodman
- Tommy Dorsey
- Glenn Miller
Hard Bop, Bebop
WW2 以降、黒人はスウィングへの反動で、力強くエモーショナルな Hard Bop を生み出した。
- Sonny Rollins
- Thelonious Sphere Monk
- Charles Mingus
セッション性を高め複雑にした Bebop も登場した。踊るというよりは鑑賞する色合いが高まった。
- Charlie Parker
- Bird and Diz
- Dizzy Gillespie
- Bud Powell
さらに演奏に重点を置いたモダンジャズに受け継がれる。
- John Coltrane
- My Favorite Things
クールジャズは Bebop の反動でやや抑制的な性質を持つ。
- Miles Davis
- Gil Evans
その他
クラシックとの融合
- MJQ
- John Lewis
- Wynton Marsalis
新しいジャズの模索
- Kamasi Washington
スタンダード
Tin Pan Alley
- Irving Berlin
- White Christmas
- George Gershwin,, Ira Gershwin
- The man I Love
- But Not For Me
- I Got Rhythm
- Summer Time
- I Can't Get Started
- Hoagy Carmichael
- Stardust
- Georgia on My Mind
- Skylark
- In the Cool, Cool, Cool of the Evening Cole Porter
- Jazz River Light
- I've Got You Under My Skin
- Love For Sale
- Night and Day
- Begin the Begin
よくく歌われるスタンダードナンバー
- Bye Bye Blackbird
- Lover, Come Back to Me
- Rockin' Chair
- You'd Be So Nice To Come Home To
- Blue Moon
- Body and Soul
- God Bless The Child
- My Funny Valentine
- Black Coffee
- Lullaby of Birdland
- Misty
- Everything Must Change
- You Don't Know What Love Is
女性シンガー
- Mildred Bailey
- Billie Holiday
- Ella Fitzgerald
- Jo Stafford
- Anita O'Day
- Peggy Lee
- Carmen MacRae
- Sarah Vaughan
- Dinah Washington
- June Christy
- Julie London
- Chris Connor
- Rosemary Clooney
- Cassandra Wilson
- Dianne Reeves
- Norah Jones
男性シンガー
- Bing Crosby
- Perry Como
- Frank Sinatra
- Joe Williams
- Nat King Cole
- Johnny Hartman
- Mel Torne
- Chet Baker
その他本書のおすすめアルバム
Keith Jarret - The Koln Concert
感想
ジャズを取り入れた音楽はそこかしこで聴けるし、かっこいいとも思えるが、もっと同じ傾向のものを聴きたいと思ったときジャズのサブジャンルの中のどれなのかさっぱりわからなかった。
これはインダストリアルの鬼才である Foetus のなかで特に好きな曲。ビッグバンド、スウィングジャズ方面なのかな? なんとなくどのあたりをたどればいいか分かってきた。それらは白人的で、行進曲的な要素が少しあるように思うので自分の入り口としてはこのへんなのかも。
ブルースもギターの技術が高いと感じたが、ビパップあたりは特に技術が高く、黒人の文化圏の音楽エリートのなかでも最高峰なのかもしれない。作曲等の場面でよく引き合いに出されるのはハードバップ、ビバップあたりのものが多いように思うし、最初に聞けと言われるのもそのへんだったりしたから、ジャズのなかでも技巧的すぎるという解説を思えば、いままで紹介してきた人々はなんだったのか...という気持ち。もっと踊れて気軽に聞けるものから入っても良いとは思う。
それと、黒人音楽と言えばジャズだと思い込んでいたが、ゴスペル、ブルースと並べてみると違いが良く分かり多くの流れのなかの一つという認識になった。