読書メモ: 西洋音楽史(2/4) バロック~古典派
前回の続き。
よく知られているであろう言葉には文中で特に説明が無かったので自分で調べなければならなかった。
前回書き忘れたがこれは読書メモであり読み物ではない。参考文献への URL 集といったところだ。
所感
バロックは堅苦しい宗教曲、貴族のための娯楽であるオペラ、器楽曲というように二つのキャラクターが分かりやすくなった。ただ、どちらも取っつきにくい。これらは教会か宮廷でなければ聞くことができないのだ。市民が親しめるような音楽は次の古典派でチラ見せで、ロマン派までは本格的には登場しないからだ。どうしても権威的な雰囲気が強いから感情移入の隙は無い。
古典派のベートーヴェンがかなりエモーショナルで自分にとっては分かりやすかったのも頷ける。労働者のチャントとしてよく響く感じがする。
ちなみにドンジョバンニは気まぐれでオペラを見に行ったことがある。見た目としてもノリとしてもとても分かりやすく現場では楽しんでいた。しかしモーツァルトは全般的に、ヘッドホンで聞くと古臭い、ダサい感じがしてしまう。やはりオペラは体験する娯楽であって腰を据えて聞くものではないのかもしれない。
私がクラシックを好きになるにはもう一押しが必要だ。
バロック Baroque(1600年)
絶対王政の時代と重なり、多くが王の祝典のためのBGMとして作られた。
この2本の映画がこの時代をよく再現している。
ジャンル
オペラ Opera
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オラトリオ Oratorio
宗教的題材による舞台の無いオペラ
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受難曲 Passion
キリスト磔刑の物語を主題にしたオラトリオ
その他
- カンタータ Cantata: 音楽による小さな教訓劇
- 合奏協奏曲
- トリオ・ソナタ
- 舞踏組曲
技法
修辞法
歌劇曲において、大きな音程跳躍を「喜び」、狭い半音階を「苦痛」などと感情表現と音楽表現と対応させた考え方。先のバッハのマタイ受難曲で多用されている。
Musical expression - Wikipedia
理論書
モノディ
ルネサンス期には見られなかった、楽器による和音伴奏を伴うドラマチックな独唱。
協奏曲
器楽伴奏つきの宗教合唱曲。合奏協奏曲は複数の独奏者をもつ協奏曲。
トランペット、フルート、オーボエ、ヴァイオリンの独奏 open.spotify.com
フォルテとピアノのチェンバロ open.spotify.com
その他
- フーガ Fuga: 対位法を主体とした楽曲形式の一つ
バッハについて
バロック期の有名な作曲家だが地理的にも技法的にも他の作曲家と異なり宮廷向けではなく教会向けだった。宗教的、古典的、技巧的である。
同時期の テレマン Georg Philipp Telemann の作と比較
このようなドラマチックな演奏は後世にアレンジされたものである
古典派 (1750年ころから)
神や王ではなく市民のための音楽が指向された。それに伴い対位法、通奏低音が廃止され、旋律自体に焦点があたる。
ペルゴレジ Giovanni Battista Pergolesi
また、市民がプロの演奏会を聴いたり、楽譜を買ってアマチュアとして演奏する市場ができた。
前古典派
エマヌエル・バッハ Carl Philipp Emanuel Bach
激越な主観表出で知られた。以前の修辞法に則っていない。
ヨハン・シュターミツ Johann Wenzel Stamitz
マンハイム楽派 Mannheim school。短いフレーズ内での急激なコントラスト、独特の音型。
グルック Christoph Willibald (von) Gluck
劇内容を極力簡潔かつドラマチックに表現しようとした。
ハイドン Franz Joseph Haydn
公共演奏会における交響曲の象徴
当初から出版を目的とした作品
ソナタ形式 Sonata form について
古典派以降は4つの楽章からなる。
- 第一楽章: 急速なテンポ(アレグロ Allegro)
- 第二楽章: ゆっくり
- 第三楽章: 舞曲(メヌエット Minuet) 省略されることもある
- 第四楽章: 再び急速なテンポ
編成で呼び方が変わる
- オーケストラ: 交響曲 Symphony
- 4つの弦楽器: 弦楽四重奏曲
- ピアノ: ピアノ・ソナタ
この第一楽章は以下の部分からなる。
- 提示部: 調性が異なる二つの主題を提示
- 展開部: 様々な調性を揺れ動き不安定になる。主題が変形される
- 再現部: 二つの主題が同じ調性になる
モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart
上記の主題の掛け合いの名手。
ピアノ協奏曲第25番はバロック祝典の下地はあれど民衆を意識した響きがある
オペラ・セリア Opera seria はバロックから続くオペラのジャンルで神の加護が王にあるという権威付けの度合いが強い。モーツァルトも再後期のオペラ・セリアを残している
オペラ・ブッファ Opera buffa は民衆向けのもので喜劇的な内容も含まれる。
ベートーヴェン Ludwig van Beethoven
交響曲では第三楽章がメヌエットではなくスケルツォ Scherzoになる。
また、終楽章も軽快には終わらずますます高揚していく。
著者曰く、"古典派音楽の理念の完成系"
(次回、ロマン派は最も勢力が大きいのでそれだけで1エントリ費やす)