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読書メモ: 西洋音楽史 (1/4) グレゴリオ聖歌~ルネサンス

西洋音楽史という本がとても面白かったのだが、まったく音楽に詳しくないので、記載されている作曲家の音楽のプレイリストを作りつつ、用語をまとめながら読んでいる。手元のメモを転記してみる。

まずはグレゴリオ聖歌からルネサンス後期まで。本に記載されたものやそれに近い楽曲を Spotify プレイリストで作った。

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各用語は検索しやすいように英語圏でのスペルを併記した。

先に所感

正直、聞く音楽としてのクラシックは全然興味が持てない。本を1/3まで読んで"興味が持てない"の解像度が高くなった。バロック以降の貴族、王族の娯楽という傾向が高まったところで非常に退屈に感じられる。よく聞くので既視感で飽きているというのもある。

一方で、このページでまとめているような、いわゆる"クラシック"以前の古楽はとても面白い。着目すべきところがミニマルだし、神へ捧げる儀式、仏教のお経のような効果が目的だから異様な雰囲気がある。アメリカ音楽以降のポップスはカウンターカルチャーの殴り合いになっていくわけだが、自分にとってはこの怪しげな宗教観、怖さが西洋音楽史の中で"お行儀のよいクラシック"へのカウンターになっている(時系列的には巻き戻るが)。それほど新鮮に感じられた。

グレゴリオ聖歌

グレゴリオ聖歌 Gregorian Chant (500年)

理論書

映画

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オルガヌム Organum (800年)

グレゴリオ聖歌に別の声部を付け加え重ねて歌うジャンル。オルガヌム声部は大抵4度か5度を並走するだけ(空虚五度 open fifth)。また、この時代はこのようなグレゴリオ聖歌への編曲が主な作曲行為だった。1100年台にはオルガヌム声部が独立して動き始める(メリスマ・オルガヌム melisma organum)

このころから楽譜が作られ始める。

理論書

ノートルダム楽派 Notre-Dame School (1200年)

レオナン Léonin (Leoninus)

主にメスリマオルガヌムを制作。オルガヌム大全 Magnus Liberオルガヌムを体系的にまとめた。

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ペロタン Pérotin (Perotinus)

主にレオナンの改作。四声に拡張されたり、6/8拍子のようなリズム(モードリズム Rhythmic mode )があったりする。

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モテット motet (1300年)

オルガヌムのように3声からなる声歌だが、上に乗る旋律がフランス語になり歌詞も低音部に置かれたグレゴリオ聖歌とは関係のない世俗的なものである。

理論書

  • ルチダーリウム Lucidarium : ハルモニア=高音と低音の数学的比率
フィリップ・ド・ヴィトリ Philippe de Vitry

アルスノヴァを提唱

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理論書

ギヨーム・ド・マショー Guillaume de Machaut

モテットのほかにミサ、世俗歌曲なども。臨時導音、シンコペーションも使う。

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ルネサンス

前期(1400年)

宗教的価値観にとらわれず直感的に美しいと言える楽曲ができるようになった。

理論書

ギヨーム・デュファイ Guillaume du Fay

ミサ曲 私の顔が蒼いのは Missa Se la face ay pale など。

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オケゲム Johannes Ockeghem

デュファイに比べて中世的で数的な比率構造を作品に組み込む。

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ジョスカン・デ・プレ Josquin Des Prez

モテットのわが子アブサロン Absalon fili mi, アヴェ・マリア Ave Maria, ミサ曲 パンジェ・リングァ Missa Pange Lingua など。

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後期(1500年)

歌詞の雰囲気を優先した旋律の作りをするようになった。

ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナ Giovanni Pierluigi da Palestrina

(ローマ楽派) 対位法の規範として手本にされた。

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ジョヴァンニ・ガブリエリ Giovanni Gabrieli

壮麗な金管合奏曲。エコー効果。

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モンテヴェルディ Claudio Monteverdi

聖母マリアの夕べの祈り Vespro della Beata Vergin サンマルコ寺院での再現

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マドリガーレ集第四巻 Madrigals, Book 4 (Il quarto libro de madrigali), SV 75-93: 不協和音、半音階を頻繁に用いる

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カルロ・ジェズアルド Carlo Gesualdo

不協和音(半音階)を多く使う

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(バロックへ続く)

ishikuro.hateblo.jp